いい湯だな 近畿の温泉めぐり
「小処温泉(奈良県上北山村)」
秘湯ゆえの魅力と悩み 入山制限響き油代も負担に
近畿屈指の秘境の湯といって過言ではない。小処(こどころ)温泉は奈良・大台ケ原西麓の山峡に湧き出ている。国道169号沿いにある上北山村役場の所在地、河合交差点から東に約10キロ。北山川上流の小橡川にそそぐ渓流のほとりにあった。
急カーブを曲がると、わずかに開けた谷間に、ガラス張り格子戸の平屋が建っており、思わずほっとした。最後の集落を過ぎてから数キロも、対向車を交わすことの難しい道が続いたせいだ。ところどころで「小処温泉」の標識を目にしたが、道を違えたのではないかと、不安になってもいた。
瀟洒な外観と違い、内部は思ったより広い。20人余りが座れる食堂、ごろりと寝転べる休憩室もある。浴槽に浸かると、対岸の緑がすぐ目の前にあった。
秘湯ではあるが、登山愛好家仲間には知られた存在。大台ケ原への西登山路にあるからだ。温泉用にと地元の小橡自治会が掘削したのは昭和45年。その翌年から、簡素な小屋がけ風の建物で営業していた。
7年ほど前に、今の建物が建った。オーナは同自治会と村役場。1キロほど上流にある「くらがり又谷の滝」とのセットで新名所として売り出し、入浴客で大いににぎわった時期もあったらしい。
「昨年から西大台への入山が制限されたこともあり、訪れる人がめっきり減りました。いつまで続けられることやら。今年から6月の営業は土、日だけにします」。委託経営している小松操さん(54)の顔はくもる。
源泉の温度が25・6度と低いため、加熱しなければならない。最近の重油の値上がりで土、日以外は赤字続きになりそうだという。温泉から100メートルほど上流に、一部2階建ての建物があった。地元有志が作った宿泊施設なのだが、営業はしていなかった。 (徹)
◆メモ 硫黄泉。神経痛、消化器病、皮膚病などに効く。
▽入浴料600円。今月は月〜金曜休業。以降は11月30日まで第2、第4火曜(祝日の場合は翌日)を除き毎日11〜18時。ただし、7月19日〜8月31日は20時まで。荒天の場合は休業するのでTEL07468・3・0256(小処温泉)へ要問い合わせ。

